いろどり野菜の手品師

小宮強さん

小宮 強さん

南房総ではちょうど端境期にあたる4月下旬から5月上旬にかけて、品揃えが寂しくなった農産物直売所では「たてやまかおり菜園」のシールがひときわ目につきます。「うちの畑には端境期はありません」と話すのは農園を切り盛りする小宮さん。トマト栽培で知られる理論派の農家さんです。

雑貨店の店長や大手種苗会社の社長付き人として多忙な日々を送っていた小宮さんは、奥さんと出会ったことで農業への道へと進むことになります。合理的で効率的な考え方が骨まで沁みこんでいた小宮さんの目には、当時の農業は前時代的で非効率的に映ったといいます。少なかった販売先は、2年目には50軒、3年目にはさらに50軒ほど増やしました。3ヘクタール弱の畑で80種ほどの野菜を栽培し、ビニールハウスで温度コントロールすることで、1年を通して切らさず出荷することに成功しています。その秘密は徹底した生産管理と作業の効率化。その甲斐あって、週に1日は完全休日を確保できるほど時間的な余裕が生まれたといいます。

自信があるというトマトは、園芸作物の中でも栽培が難しい部類に入ります。最初は40種類ほどを試験的に栽培し、今では大玉1種とミニトマト12種ほどに絞りこみました。「トマトはどの野菜よりもおしゃべりなんです。葉っぱの反りや花の付き方、茎の長さなどを見れば、何が足りないか、何が多すぎるかがすぐにわかります」と小宮さん。「年間1万本ほど植えていますが、このトマトがかわいくて仕方がない。家族同様に愛しいと感じています」と冗談交じりにいうだけあって、トマトに向ける眼差しは優しさに満ち溢れています。

「味が濃い、色が鮮やか、食べやすいやわらかさ」が農園のポリシー。農業のノウハウは、研修生や就農希望者の受け入れなどを通して、他の人にも積極的に伝えていきたいといいます。80種の色鮮やかな野菜を1年中切らさないように出荷する。大変そうなことをこともなげにやってのける小宮さんは、まさにマジシャンのような人でした。

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