安房野菜のコンシェルジュ

井坂 健太郎さん

井坂 健太郎さん

館山市神戸地区。通称「佐野っぱら」と呼ばれる広大な畑を見渡す場所に百笑園はあります。店長を任されている井坂さんは「ひゃくしょう」という言葉は「百の仕事をこなせる人」という意味でとらえていると語ります。実際農家の人たちは作物を育てるための知識はもちろん、地域の自然や環境、天候などに精通しています。この「ひゃくしょう」という名前に敬意を示しつつ、「農業を楽しく」の気持ちを込めた「百笑」園というネーミングには「ただの直売所ではなく、農業にまつわる知恵を消費者に伝えるための役目を果たしたい」という思いがありました。

決して広いとは言えない小ぢんまりとした店舗。地元産にこだわるため、他の直売所に比べると野菜の種類も多くはありません。それでも繁忙期になると多くのお客さんがこの店に足を運んでくれるのは2011年のオープン以来築いてきた信頼関係によるものでしょう。実際、井坂さんの接客を見ていると、野菜の品種はもちろん、味や食べ方、時によっては生産者の人柄まで、商品にまつわる幅広い知識をお客さんに伝えています。味の説明がただ「甘い」「おいしい」だけにとどまらないのは、飲食店で働いた経験もある井坂さんが野菜の味を的確に伝えるために慎重に言葉を選んでいるからだそう。説明を聞いたお客さんが、納得の笑顔で野菜を買っていく姿は、見ていて清々しさを感じるほどです。「おいしさの感じ方は人それぞれですが、食べた時に浮かぶ思い出などもおいしさのひとつかもしれません。たとえば実際に足を運んで収穫体験をしたお客さんは、あの味が忘れられないと、必ずまたお店を訪ねてくれます」と井坂さん。こうした野菜の味だけにこだわらない説明も、おいしさを増すためのスパイス的な役割を果たしていると言えそうです。

生産者と消費者の橋渡し的な役割。コンシェルジュのようですねというと、謙遜した笑顔で「いつかは自信をもってそう名乗れるようになりたいです」。地元の野菜を「安房野菜」というブランドに育てたいという夢とともに、井坂さんの挑戦は続きます。

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